空虚

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 遥のお母さんを家に上げた。ビールの缶や酒瓶が散らばっていて、少し恥ずかしくもあった。 「遥の荷物はどこにあるかしら?」 「いや‥まだ遥の荷物を整頓していなくて、一緒にすんでいたときのまんまなんですよね。」  そう…じゃあまとめなきゃいけないわね、と言葉を返し、お母さんは部屋の周りを見渡した。勝手が分からないからだろう。 「これ使ってください。遥の服はこの衣装ケースと押し入れの中にありますから。」  と、俺はダンボールの空き箱をお母さんに渡した。ありがとう、という答えが返ってきて、お母さんは衣装ケースを開けた。突っ立っているのもどうかと思ったので、手伝うことにした。
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