空虚

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 遥が身につけていたものにふれる度、虚しくなり涙が流れそうになった。しかしお母さんの手前、泣くなんて情けないし、何より女々しい男だと思われたくはなかった。  ここでのことをお母さんは遥に言うかもしれない。そうとも思ったし。  だが、遥の衣類を持ち、思いにふけりながら涙をこらえる姿は、きっとお母さんにはバレていただろう。お母さんが話しかけてくれなかったことが幸いだった。  ある程度荷物が片付き、ダンボールをお母さんの車に載せた。ダンボールは2箱。こうしてみると遥の服は意外となかったんだなあと思った。 「宏明君…手伝ってくれてありがとうね」
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