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「あ。鍵返してもらうの忘れた…」
外で一人呟いた。また遥と会わなきゃいけないのか…。
逢いたい、逢いたいと思っていた遥に対しては、不満が沸き上がっていた。
そんなに俺に逢いたくなかったのか?
わざとバイトを詰めてわざとお母さんに荷物を取りにこさせて。
いくら俺のことが嫌いだからってこれは俺と遥の問題であって、お母さんを巻き込んではいけないだろう?
そう考えながら、1人部屋に戻る。遥の服だけがなくなっただけで、遥の読んでいた雑誌や遥の学校の教材はまだ多く残っている。
それなのに、部屋はさっきよりも寂しい感じがした。
虚しくて、さっき我慢した涙がとめどなく溢れた。
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