12人が本棚に入れています
本棚に追加
「マスターそりゃないっすわ…」
苦笑いして酒を灰皿から少し離した。
「ごめんねー。あきちゃんならそんくらいいけると思って。それに嫌な事忘れたいならそれくらい強い酒じゃないとね。」
マスターは微笑んで言ったあと、タバコに火をつけ、「まあ忘れられるのは一時的だけどね」と付け加えた。
「マスター、俺さ」
「うん?」
店内のBGMは軽快なジャズに変わっていた。店内はとは裏腹に、しんみりとした空気が流れた。
俺は今まで洗いざらい話した。幸せだった記憶と幸せが壊れた瞬間。酔っ払っていて同じ事を繰り返し話していたかもしれない。
けれど、マスターに聞いてほしくて仕方がなかった。
最初のコメントを投稿しよう!