堕落

10/28
前へ
/88ページ
次へ
 マスターはそう言いながらカクテルを作る。ヨーグルトが入ったカクテルなのか、乳白色だった。 「はい、これ飲みな。」  出されたカクテルにはビネガーが入っているのか、舌が酸味を感じた。 「あきちゃん大分酔ったね。まあ僕があれ作ったからか。」  マスターが微笑みながら俺を見る。 「あれはマジでないですよ。一杯で酔えたし。」  ごめんねー、と笑いながら、熱帯魚にエサをあげるマスターを見て、この人に話を聞いてもらえてよかったと思った。 「俺、そろそろ帰りますわ。」 「ん?もういいの?まだいてもよかったんだよ?」 「いや、眠くなってきたし。」  そっか、とマスターは笑って「3000円ね」と付け足した。安く呑めるのも、このバーの好きなところだ。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加