空虚

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 それからの俺は、どんどん荒んでいった。  酒に依存し、学校も行かなくなった。呑まないと眠れないし、酔ってハイになるときだけ遥を忘れられた。  もっともハイに入るときなんてごく稀で、いつもは悪い方に入ってしまうのだが。  どうやったら別れずにすんだのか?と出会った頃から今までの軌跡を頭の中でシュミレーションをしてみるのだが、どうしても俺の都合のいいような結末に終わってしまう。それが虚しかった。  一緒に暮らしていた部屋はあまりにも遥の痕跡が残っていて、そこにいること自体がとても苦痛だった。ベッドにほのかに残る遥の匂い、一緒に見た天井の染み、ケンカして殴って穴をあけてしまった壁。部屋のすべてに思い出が詰まっている。
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