空虚

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 1Kの狭い部屋は、2人で幸せな時間を過ごすにはちょうどよかった。狭いキッチンに2人で並んで料理をしたり、遥を膝に乗せて一緒にテレビを見たり一緒にゲームをしたり。 「ここってこんなに広かったっけ…?」  いつもこんな風に独り言を言っても「え?」とか何か返ってきたけれど、もう返ってくることはない。それを実感する度に、別れたと言う現実が重くのしかかる。  何が悪かった?どこから間違った?なにがどうなってどうしてこんな風になってしまった? 「俺が何したって言うんや…」  遥のいない部屋で独り酒を片手に呟いた。
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