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早く気詰まりな状況から逃れたいのか、テッドはそわそわと落ち着きがない。
「ああ。余り無茶はするなよ。死んでからじゃ遅いんだぞ」
判ったよ。じゃあね、と傷の痛みに馴れたのか、元気に少年は診療所を後にする。行き先を見届けるべく、テッドが出て行ったドアまで二人は歩いた。
ガラス越しのNYの夜、秋口は既に肌寒い。
「――彼奴、何時も何処で寝泊まりしてるんだろうな…」
気温差で曇った窓を拳で拭いながらふと感傷的な面持ちになるアンダーソンに問われて、クロスターは答える。
「ラスティ。俺は――この街が寒いのは別の理由が在るからだと思う時がある」
此処は誰もが陽気に成れる街。(everyone feel so happy)
此処は誰をも迎え入れてくれる街。
(she welcomes enyone)
そして、
「――ここは誰にも馴染めない、他処者の街だ・・・。
(In this town ,we are strangers)」
暗いダウンタウンの闇にテッドのシャツの背中が青白く浮かんで消えたのが、二人の脳裏に残像となって残った。
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