15人が本棚に入れています
本棚に追加
「――神なんか俺は信じない」
マイク・クロスターはそう云った切り押し黙り、冷たくなった相棒の遺骸の側を動こうとはしなかった。
タイルの床に力尽きたように座り込むクロスターは、気遣って差し出したラスティ・アンダーソンの手を煩わし気に払い退けてしまう。
「――いい加減にしろよマイク!」
アンダーソンは友人の胸倉を掴んだ。
「御前は何時だって後先考えずに突っ走って、何か無くして後悔しないと立ち止まれない奴だ!何度繰り返せば分かる!?」
クロスターもいらつきを抑えもせず、アンダーソンに当り散らす。
「何を分かれって?――こんな、馬鹿げた殺しをしでかした奴の心境か!?
答えはNO(ふざけるな)!だ。どうやって説明するんだ?「貴方の大切な息子さんは、首から下しか見つかりませんでした。頭は目下捜索中で」って云えってのか!?」
二人の側にある遺体は、布が被せられて不自然な山を造って居た。
有るべきものが有るはずの所に無い事の、この例え様のない不安。
手術台の相棒の遺体には首がないことが、布で隠れていても型だけで知れる。
広い肩幅が、やけに四角く目についた。
最初のコメントを投稿しよう!