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真夜中に次のシフトと交替してから、クロスターはやっと家路に着いた。
現在彼はブルックリンで医師をしているアンダーソンの診療所兼自宅に居候して居る。
玄関の照明は、クロスターを迎えるように付け放したままであった。
こんな犯罪多発の危険指定区域に、夜中でも鍵を掛けて居ないのは此処位のものだろう。
ブルックリンはNY市の地区の内でも、エスニックカルチャーの堝(るつぼ)であり、異人種間の凶悪犯罪の多発地域としても名を馳せている。
署内では「危険地図」なるもので細かく強盗や強姦の多発地域を区分して、重点的に巡回をする程なのだ。
ドアのバーを掴んで押すと、両開きの扉は簡単に開いた。
「ただいま(I'm home)…。――ラスティ?」
薄暗い待合室のソファに寝転がって居たラスティ・アンダーソンは、顔に掛けていた雑誌を持ち上げて応えた。
「--御帰り(Welcome back)、マイク。俺も今やっと一息着いたところだ。少し眠ろうと思って…」
向かい側のソファに陣取って、クロスターは紙袋を差し出した。
「バーガーとコーラ買って来たけど、どうだ?」
疲れ切った医者は寝そべったまま腕を伸ばす。
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