想い出すのは君の笑顔

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  「ふぁあー…。」 いつもの公園のベンチで、 沖田は大きなあくびをした。 そして、ボーっとしたまま 今の自分の状況を 把握するために辺りを見渡す。 寝起きのはっきりしない頭で ここまでの出来事を思い返す。 たしか巡回の途中でこの公園に立ち寄って、 いつもここで一緒に笑い合ってたあいつのことを思い出して、 それで…どうしたんだっけ。 ああ、そうか。 と沖田はポンと手を叩いた。 ベンチに座っているうちに、 いつの間にか眠ってしまって いたようだ。 そこまで考えて、 沖田はぶるっと身を震わせた。 秋も深まり、一層肌寒くなった。 そういえば…あの時も、 こんな風に寒い日だった。 大切な女の子を失ってから、 早一年。 目を閉じると、今も鮮やかに あいつの姿が思い浮かぶ。 最後の俺の言葉に微笑んで、 頷いて…そのまま静かに動かなくなった。 神楽… 体、もう大丈夫か? そっちには、いい奴いたか? 俺のことは…もう忘れたかよ。 ――俺は、 一日だってお前のこと 考えなかった日はない。 今になってどうしようもなく …お前が愛おしい。 今は離れてるけど、俺たちは きっとまた逢えるよな。 だからそれまで、俺は誓う。 どんなに二人が離れてても… 何度生まれ変わろうとも… ずっとお前だけを、愛してる。  
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