1ーThe boy who was rolled upー

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「それ」は傷つき、体液を流しながらも未だに倒れていなかった。  「…まだ立っているの…?」 玲菜が驚愕の声を上げる。  愛流の機体は爆風で吹き飛び、動いている様子は確認出来なかった。  暫く、誰も動かない静寂な時が空間を包んだ。  その中で最初に動いたのは…「それ」だった。 「…ッッ!」 玲菜の機体が銃を構える。 「それ」は辺りを見回し、木陰で震えるひかるを見つける。  するとすぐに、ひかるに向かって腕を突き出して走ってきた。  「う、うわぁあああああッッ!」 ひかるは絶叫しながら木陰から逃げる。 「な、一般人?!紛れ込んでいたの?!」 玲菜の絶望的な声。 「それ」は、笑い声にも似た奇妙な声を上げてひかるを追い掛ける。 生身の人間と巨人のような体躯のスピードではまるで話にならず、ひかるのすぐ後ろにまで「それ」の指は迫っていた。  ひかるの体が掴まれる。  「うわぁ、離せ!離せよ!」 だが「それ」は全く同じず、ひかるを宙へと持ち上げた。  「それ」の仮面の口の部分が開く。 それはまるで笑っているかのように見えた。  が、しかし、口を開いた目的は他にあった。  ひかるを持った手をゆっくりと口に運ぶ。  「こ、こいつ、僕を食べる気?!やめろぉおおッッ!」 ひかるの絶叫は真っ白な空に虚しく響く。 
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