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その時、鋭い銃声が響いた。
同時に「それ」の動きが止まる。
見れば、開いた口の部分から大量の血液が流れだしていた。
「流石に口の中は頑丈じゃないのね…」
玲菜の機体が、巨大なライフル銃を構えていた。
その銃口からは煙が出ている。
動きが止まった後、「それ」の腕はだらりと垂れ下がり、ひかるは地面に落下した。
「ぐっ…はぁ…はぁ…」
異常に細長い腕が幸いして、落下した高さは死ぬ程ではないが、それでもひかるは悶絶する。
「それ」が地面へと倒れ込む。
間もなくして、「それ」は指の先から次々と灰となっていった。
「あ、愛流!」
動ける程には回復したひかるは、爆風の衝撃で先程からぴくりとも動かない愛流の機体へと駆け出した。
「あ、ちょ…待ちなさい!」
玲菜の機体がそれを追う。
コックピットの中では、愛流が目を閉じてぐったりとしていた。
「あ、愛流ッッ?!」
ひかるの呼び掛けに、ゆっくりと目を開ける。
「ん…んー?げ、ひかる!?」
声の主に気付き、驚きの声を上げる。
「あら…曽根川君だったの?」
追い付いた玲菜も一般人の正体に驚いていた。
「ひかる、なんでこんな所にいるのよ?!」
愛流が問い詰める。
ひかるは、今までに至る経緯を話し始めた。
「しくじったわね…。完全に私のミスだわ…」
玲菜が狼狽する。
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