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【シェルノス郊外:北端】
「はぁ、やっと着いたか」
電車に揺られること早一時間。
学校側が二人のために特別に出してくれた全自動電車の停止音を耳に留め、輝は凝った首を鳴らしながら立ち上がった。
「おい、着いたぞ。起きろ」
「ふぇ? あッ、つ、着いたの?」
「だから着いたって言っただろうが。さっさと来い。置いてくぞ」
「ちょっ、ちょっと待ってよ~!」
自分の荷物を背中に掛けるようにしながら片手で持ち、座ったままこくりこくりとなりながら眠っていた光の頭をペシンと叩きながら輝は一足先に電車を降りて行く。
次いで眠っていた光も自分の荷物を両手で抱き抱えるように持って電車を降り、先に目的地へと歩いて行く輝に慌てながら付いて行った。
「ね、ねぇ夏ノ宮君。ちょっといい?」
「何だ?」
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