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急に立ち上がったかと思うと今度は上から見下ろされる。抱きついていた腕も解かれて、どこも触れないまま呟く。
「なぁ、好きな奴出来た?」
泥酔していると決まって聞いてくる。どうせ次の日には何も憶えてないくせに。
「んー?いや…」
適当に返事をしても聞いてすらいない、と思う。
俺は何も期待してないし何も言わない。完全に受け入れてもいないが、拒絶もしない。
コイツが俺に会いに来るのは楽だから、って分かってる。
痛いほど分かってる。
アルコールで潤んで赤くなった目の淵にはいつも欲求しか認められない。
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