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「チーム分けはこちらで決めてある。今からナンバーと、一班につき名前を三名づつ読み上げる。呼ばれた者は返事をしろ。ナンバーは各班の名称だ、聞き逃すなよ。第1班――」 「ボクは、こわ委員長とだけは一緒になりたくないな」  教官が名前を読み上げる最中で愛流ちゃんがそう言えば。 「こちらこそ、貴女のような無礼な方は願い下げですわ。大体なんですの? その“こわ委員長”と言うのは」  勿論、席が近いのでそれを耳に入れた上之宮さんも反応する。 「だってやたらと仕切るし怒るし、まさに委員長キャラだよ」 「馬鹿」 「ちょっと愛流ちゃんに上之宮さん、やめなよ……」  私を間に火花が散りそうな睨み合いをする二人。ああ、私なんてツイてないんだろう。どうか、平凡で、たまにワクワクが混ざる程度の学園生活が送れますように。  小さく柏手を打ちながら、私はそう神様に祈った。 「なんですの!」 「なにさ!」  唸り、互いに威嚇する二人。そろそろ乱闘も辞さない一触即発の雰囲気。私は身を縮めながら必死で両者を宥めるも効果は無し。泣きそう。  そんな、三者三様に冷静な判断が出来ない状態な時。 「第7班、曽根川ひかる、上之宮玲菜、天見愛流」 「え」 「な」 「ほえ?」  一瞬、理解が出来ず。私達は呼ばれた順番通りに素っ頓狂な声を発してしまった。返事が無いのを訝しく思ったらしく、アスク教官は資料に落としていた目線を上げ、少し厳しさの増した声で再び叫ぶ。 「どうした? 曽根川ひかる、上之宮玲菜、天見愛流。返事をしろ」 「は、はい!」  ガタっと立ち上がり、私は慌てて返事をした。あまりに挙動不審な動きに、周りからクスクスと笑われ、私は顔から火が出る程恥ずかしかった。  左右にいる二人を見ると、まだ放心状態と言った感じである。  アスク教官は再び資料に目線を戻し、続けて名前を読み上げる。そして思い出したように顔を上げ。 「言い忘れてたが、班は卒業までの四年間、何か突発的なアクシデントが無い限り、今読み上げた者と組む。無論、寮内でも同室だ」 「冗談でしょ!」 「冗談ですわ!」  二人同時に身を乗り出し叫ぶ。 「……ア……あハハ」  乾いた笑いが出た。神様。これは偶然じゃなく。嫌がらせですか? ささやかな私の望みは、僅か数分で壊れるのでした。
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