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そして、あっという間に一週間が過ぎ。
「ちょっと天見さん! あまり服を脱ぎ散らかさないでほしいですわ」
「うわ、出たよ小姑」
「まあまあ二人とも」
ここは寮内での私達の部屋。上みたいなやり取りが、あれから四六時中繰り返されている。その度に私は間に入るのだけど……ストレスで泣きそう。むしろ泣きました、枕濡らしました、おばあちゃんに何回も心の中で愚痴りました。
「ふん、無礼者一人に、地球から来たギリギリ入学したような方が一人。このようなメンバーで明日からのBA訓練。満足に熟せるのか不安ですわ」
白のキャミソール姿の上之宮さんは、両手を上げ、やれやれといった仕種でそう皮肉った。
「あ、それ差別発言だよこわ委員長! ひかるっちに謝りなよ!」
黒のタンクトップ姿の愛流ちゃんが牛乳パック片手に吠える。
「いいよ愛流ちゃん。入学ギリギリだったのは本当だし、実際、私が1番足を引っ張ると思うし」
オレンジのTシャツを着た私は、今にも飛びかかりそうな愛流ちゃんを押さえる。
私も、入学事前の研修や勉強等はかなりしたと思っていたのだが。この学園に通う生徒はエリートだらけで、それ専用の教育を受けてきた生徒も多い。この一週間。座学や、様々な訓練を通し、私は自分が周りと比べかなり劣っている事を痛感させられた。
まず意識から違うのだ。私も真面目にやっている。けど、何か根本の部分で違うのだ。比較的私と仲の良い愛流ちゃんとですら、その意識の違いが感じとれる。
「まあ、いいですわ。明日はなるべくわたくしの邪魔をしないよう、お願いしますわ」
そう言って上之宮さんはベットに潜り込んだ。
「ひかるっち。気にしちゃ駄目だよ! 駄目もとでやればいいんだよ!」
あれ? 愛流ちゃん。既に私が駄目な前提なんだ……否定は出来ないけど。
「うん。ありがとう」
「オッケー! じゃあボクも寝るね」
ベットにダイブする愛流ちゃん。ああ、またそういう事するから。上之宮さんから無言のプレッシャーが……。
「……私も寝よう」
ポフっとベットに横になる。枕に顔を埋めながら、ぼんやりと明日の事を考え、私は眠りに落ちた。
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