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▲ ▽ ▲ ▽ 「今日から、対BA戦におけるより実戦に近い訓練を行う」  アスク教官がそう説明を始めた。  私達がいるのはシミュレーションルーム。ここには人一人が入れる球体に近い端末が沢山ある。この球体は実際のBAのコクピット部分と同じで、今から私達はこれに乗り込み、バーチャル上であの【GLAY】と戦うのだ。 「各班事に一体の【GLAY】と戦ってもらう。いいか、もう解っていると思うが、シミュレーションとは言えこの端末にはエーテル機関も積んであり、被弾すれば衝撃もある。身体に掛かるGも実際とほぼ変わらん。油断すれば、それこそ大きな事故に繋がる。気を引き締めるように。では、乗り込め」  目の前球体が開き、私達は乗り込む。今日は全員制服を着ている。普段授業では、私服でも良いのだが、BA訓練等は制服でなければいけないのだ。  中は薄暗く、圧迫感を受ける造りだ。私はシートに腰掛け、腰と肩をベルトで固定する。  起動は、音声認証だ。 「BA、起動スタンバイ」  薄暗いコクピット内が明るくなる。  ――起動準備中  目前のメインモニターが、起動状況を知らせる。  ――フォトン循環率__OK ――レーダー感度__良好__異常無し  ――スラスター各関節部モーター__OK  ――メインカメラチェック中__OK  ――起動率75%  ――87%  ――99%  ――__起動完了_  メインモニターを通じて視界が一気に開ける。そこは、もう宇宙。 「BA起動確認。エーテル機関、起動」  小さな耳鳴りと共に、身体から力を吸い出されるような感覚。 「う」  私はこの瞬間が嫌い。研修で乗った時も、このエーテル機関を起動した瞬間の、何か別な物に身体の神経を繋げ、さらに身体から力を吸い出されるこの気味の悪い感じが。  でも、その気味悪さを我慢すれば、この機体は私の言うことをより聞く。 「起動シークエンス終了。第7班曽根川機。準備完了です」 「全員起動したな。みな、よく聞け」  耳元から教官の声が聞こえる。
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