9人が本棚に入れています
本棚に追加
▲ ▽ ▲ ▽
「今日から、対BA戦におけるより実戦に近い訓練を行う」
アスク教官がそう説明を始めた。
私達がいるのはシミュレーションルーム。ここには人一人が入れる球体に近い端末が沢山ある。この球体は実際のBAのコクピット部分と同じで、今から私達はこれに乗り込み、バーチャル上であの【GLAY】と戦うのだ。
「各班事に一体の【GLAY】と戦ってもらう。いいか、もう解っていると思うが、シミュレーションとは言えこの端末にはエーテル機関も積んであり、被弾すれば衝撃もある。身体に掛かるGも実際とほぼ変わらん。油断すれば、それこそ大きな事故に繋がる。気を引き締めるように。では、乗り込め」
目の前球体が開き、私達は乗り込む。今日は全員制服を着ている。普段授業では、私服でも良いのだが、BA訓練等は制服でなければいけないのだ。
中は薄暗く、圧迫感を受ける造りだ。私はシートに腰掛け、腰と肩をベルトで固定する。
起動は、音声認証だ。
「BA、起動スタンバイ」
薄暗いコクピット内が明るくなる。
――起動準備中
目前のメインモニターが、起動状況を知らせる。
――フォトン循環率__OK ――レーダー感度__良好__異常無し
――スラスター各関節部モーター__OK
――メインカメラチェック中__OK
――起動率75%
――87%
――99%
――__起動完了_
メインモニターを通じて視界が一気に開ける。そこは、もう宇宙。
「BA起動確認。エーテル機関、起動」
小さな耳鳴りと共に、身体から力を吸い出されるような感覚。
「う」
私はこの瞬間が嫌い。研修で乗った時も、このエーテル機関を起動した瞬間の、何か別な物に身体の神経を繋げ、さらに身体から力を吸い出されるこの気味の悪い感じが。
でも、その気味悪さを我慢すれば、この機体は私の言うことをより聞く。
「起動シークエンス終了。第7班曽根川機。準備完了です」
「全員起動したな。みな、よく聞け」
耳元から教官の声が聞こえる。
最初のコメントを投稿しよう!