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私が乗る、いや、私達訓練生が乗るBAは【ファースト】と呼ばれる機体で、エーテル機関搭載型の物としては量産された最も一般的な機体である。
一般的に、とは言っても。エーテル機関を積んでいないBAと比べたら段違いの性能だし、高価だ。
そう高価。
二本後ろに伸びた耳みたいなセンサーを付けたシュッとした頭部。アームはかなり細かい作業ができ、ボディは幾重もの装甲板が貼られているがスマートさを失ってはいない。レッグもしかり。そう、総合すれば、この機体はカッコイイよ。無傷の時ね。
そんな、カッコイイ機体が、見るも無残に真っ二つ。
という映像が私の前にある情報端末機で流れている。もう何度も。
そして私はというと、解りやすく一言で今の気持ちを表すならば。
――ショボーン
である。
加えて、座って落ち込んでいる私の目の前には、仁王立ちした上之宮さん。その顔は……。
恐る恐る、伺うよ……。
「曽根川さんっ!!」
ひい。やっぱり凄~く怒っていますようで。
「す……すみません!」
「馬鹿」
う、また言われた。これは言い返せないです。
「この映像をよくご覧になりまして? わたくし達の班はクラスどころか学年で見てもぶっちぎりの最速リタイヤ! なんですのあの醜態は! アナタ被弾した時“どうしよう”とか言ってましたわね? あの時のアナタのあの言葉。あれは可能性の模索や状況の整理、判断の為の物じゃなくてただ単に、何も分からない、考える事を放棄した逃げの言葉ですわ!」
反省、してます。
「ねえ、こわ委員長。そのへんにしとこうよ、ひかるっちも反省してるんだし」
私の横に愛流ちゃんがそうフォローしてくれた。けど、そんな愛流ちゃんを一瞥しただけで上之宮さんは再び私に向き直り、続ける。
「わたくしは、そこにいる無礼な方も癪ですが……それ以上に曽根川さん、貴女の心構えが気に入らない! 貴女、何故ここに来たのです?」
上之宮さんの真剣なその問いに答えようとしたが、私は言葉に詰まってしまった。
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