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そして、普段は使われていない、来客用の一室に入り乱暴に服を脱いでシャワールームに駆け、込んだ。
水圧は最大。
この部屋は、プライベートを守る為に高い防音が施してある。
――だからここでなら
必死で押さえていた感情が爆発した。
「う、ぁああああああああああああああああ!」
泣いて、吠えて、足がガクガクと震え、立っていられない。
何も、言い返せなかった。
上之宮さんは正しい。正論だ。悲しい、悔しい。涙が止まらない。
自分でも解ってる今の私は冷静じゃない。矛盾してる。壁のタイルを拳で思いきり叩く、痛い。
愛流ちゃんも正しい。優しい、でも、それが同情が哀れみが痛かった。
馬鹿みたい、切ない、苦しい、寂しい、悔しい、むかつく、誰に? 自分にだ、半端な自分に腹が立つ。
つらいツライ辛い!
でも辞めたくないよ、おばあちゃん、逃げたくないよ。
――なんで?
自分でも驚いた。理解できない、あんな失敗をして、あれだけの事を言われ、自分で自分の甘さを痛感し、実感し、誰かの迷惑になる事も分かった。
なのに、私は。
“辞めたくない”
“ここに居たい” と思っている。
我が儘?
いや、あの時と同じだ、地球にいたときの、あの、理由の無い強い思い。普段自分の意見なんて殆ど言わない私があれほどハッキリとここに行きたいと言ったあの時と。
なんなの?
この気持ちはなんですか?
こんなに苦しいのはこの気持ちのせいなのに。
理由があるなら、教えてよ私。
「訳、わかんないよぉ!」
私、矛盾だらけだ。
▲ ▽ ▲ ▽
部屋に戻ると愛流ちゃんは一瞬私に寂しげな 笑顔を見せた後。
「お帰り」
と言ってくれた。
上之宮さんは、ベッドの上で、こちらに見向きもしない。
私はベッドに倒れ込むようにして入ると。
泥のように、その日は眠った。
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