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細かくスラスター吹かしつつ、ジグザグにターゲットに接近。距離が400を切った所で右手に持つフォトンライフルを構え、トリガーを絞る。
――shoot
放たれたフォトンが一筋の光となって訓練用に設置されたターゲットに命中、爆散する。
『7班、曽根川ひかる。ターゲット破壊。次のポイントに向かいます』
『了解』
現状の報告をし、アスク教官との短い応答を終えた私は、ふう、と一つ溜息を吐いて少し先を行く愛流ちゃんと上之宮さんを追った。
レーダーで隊列を確認しつつ、周囲を索敵。先程から私達の間に会話は殆ど無く、確認や報告等の必要最低限の言葉だけであった。空気、超悪いです。
これじゃいけない。私はそう思い、通信を二人だけに聞こえるようにセットした。よし、言うぞ。
でもその前に喉が渇いていたので、コクピットに内に垂れているチューブから水分を摂る。ゴクリ。深呼吸もして。
『あ、あの。二人ともちょっといいかな?』
『ほえ? いいよん』と愛流ちゃんからはすぐに答えが返ってきた。少しの間を置いて。
『手短に、お願いしますわ』
と、感情の起伏が全く感じられない声で上之宮さんからも了承を得た。
緊張するけど、ここでちゃんと私の気持ちを伝えなきゃ、ずっとこのままだ。そんなのは嫌だし、私は二人とは仲良くしたいです。だから頑張る。
えい、おー。と自分の心を自分で鼓舞!
『昨日の事だけど、私なりに、あの後色々考えてみたんだ』
一度言葉を切り。
『私は、入学ギリギリだし、上之宮さんに言われた通り、半端な覚悟だった。でも、それでも私は此処にいたい。辞めたく無い。って思った。何故って言われても、まだ上手く説明できないけど。此処にいる為の努力なら、私は惜しまない』
二人からは返事は無い。でも通信は繋がってるから、話しは聞いてくれてる筈。
『上之宮さん、私は足を引っ張るかもしれない。失敗するかもしれない。だから、その度に言って欲しいです。上之宮さんは優秀だし、上之宮さんの言う事は正しい。私は言われた事は、全部やります』
また少し、涙目になってきた。感情が昂ぶってきたのかもしれない。
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