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『愛流ちゃん。昨日はごめんね。愛流ちゃんは優しい、落ち込んだ私を凄く気遣かってくれた。本当にありがとう』
『えへへ』と照れ臭そうな笑いが聞こえた。
『上之宮さん、愛流ちゃん。私は、二人と仲良くしたい。二人と一緒にいたい、友達になりたい。こんな私でよければ。よろしく、お願いしますっ!』
勢いでつい狭いコクピット内でお辞儀をしたら、パネルの角にメットをぶつけゴッと鈍い音が響いた。痛いです。
『馬鹿』
慌ててずれたメットを直していると、上之宮さんからそう返ってきた。
『まあ、その正直さと素直さは認めますわ。友達、よろしくてよ。……ただし、わたくしは厳しいので覚悟するように』
『こわ委員長、素直じゃないねー』
『五月蝿いアホ毛。メットでペシャンコになっておしまいなさい』
『これはボクのチャームポイントなの! それに、丹精込めて育てたこの毛は、メットを被った程度で屈する程ヤワじゃないよ!』
二人のやり取りに堪えきれずに吹き出し、大声で笑った。涙を流しながら笑った。
ああ、良かった。
おばあちゃん、私の学園生活は、楽しくなりそうです。
▲ ▽ ▲ ▽
『レーダーに反応だよ!』
あの後、二つ程ターゲットを壊し、直に折り返し地点という所で、愛流ちゃんが叫ぶ。
緊張が走り、すぐにレーダーを確認する。確かに小さな反応が一つ。でもこれは……。
『この信号は……民間船?』
私が発するよりも早く。上之宮さんがそう呟くのが聞こえた。
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