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「私、やります」  きっぱりと言い切った私を驚いた様子で私を見つめる先生。 「いいのか? まだ考える猶予もある。本来は軍からの要請を断る事はできないが、お前が嫌ならばいくらでも方法はあるんだぞ?」 「でも私、やりたいんです」  今思えば、何故あの時あんなにも力強く答えたのか、自分でも不思議である。  でもやりたいという思いは、調べれば調べる程に強くなった。ただ、なぜ自分はここまで強くやりたいと願うのか、それが解らなかった。  私には、両親がいない。物心ついた頃には、私は、おばあちゃんと二人暮らしである。そのおばあちゃんも、三年前に亡くなってしまったけど。  両親は、宇宙開発事業に携わっていたのだが、ある日、とある惑星の調査をしている時に乗っていた調査船で爆発事故が起き、亡くなってしまったらしい。だから、遺体も無いと、おばあちゃんは言っていた。  そんな事もあったからか、私は宇宙と言う場所に対して、他の子達が持つような憧れも抱きつつ、少し、畏れる気持ちも持っていた。  ▲ ▽ ▲ ▽  「ノアガーデン。第七宙域にあるBAパイロット養成機関……そこに通う生徒達はSEEDと呼ばれる……か」  夜、家のベットの上で寝転がりながら、私は取り寄せたノアガーデンの資料を眺めてそう声に出した。  調べた結果、ノアガーデンと言う場所は学園とはいうものの、規律や体系は殆ど軍と変わらず。授業料を払う必要も無くて、それどころか毎月お給料まで貰えるらしい。  地球から行く人は稀で(むしろ私が調べた限りでは過去に一人しかいなかった)殆どは他の宇宙コロニーからの入学? 入隊だそうだ。  ベットの横、机の上にある情報端末機では、取り寄せた資料にあったROMディスクを読み込んでいる。私と歳が変わらないような子達が、BAに乗って戦っている映像が流れていた。  ノアガーデンでは、学生の頃から実戦があるらしい。教科書に載っていたあの気持ちの悪いグロテスクな虫のような物と戦うのだ。……もちろん、死人だって出る。 ――死  考えただけでブルリと寒気がした。その思いを振り切るようにベットから跳ね起きた私は、部屋の窓を開け、身を乗り出して空を見上げる。澄んだ空気が気持ちいい。今日は星が一段と良く見えて、とても綺麗だと感じた。  結局、出発当日になっても私のこの強い気持ちに対する答えは、出ないまま。
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