6/7
前へ
/24ページ
次へ
「す、すみません」  思わず謝った。言い負かされたと言うよりは、その剣幕、勢いに負けた。 「わかればよろしいですわ」  満足気に頷くと金髪の美少女は思い出したように尋ねてきた。 「あなた、お名前は?」 「そ……曽根川ひかるですぅ!」  情けない程に声が裏返ってしまった。だって、ここでモタモタしてたらまた怒られるかと思ったから。 「曽根川さん」 「はいっ!」  ビクッと反射で返事をした。一瞬、また怒涛の口撃が始まるかと思ったのだ。  けど。 「わたくしの名前は、上之宮玲菜ですわ。あなたもこの‘ノアガーデン’に入学した以上、もう少し自覚を持つ事。お分かりになりまして?」 「は、はひ! えと、ウエノミヤ、さん?」  もう怒ってない?  上目づかいに、顔色を伺ってみる。 「ええ。では、失礼しますわ」  言うだけ言うと、颯爽と彼女――上之宮玲菜さんは去っていった。  彼女の後ろ姿が見えなくなった頃。 「ぷは~~」  ようやく解放。  息が詰まるかと思った。ああ、呼吸が出来るってこんなに幸せな事だったんだ。  おばあちゃん。今私は、普段何気なくしている小さな事の大切を知りました。  それにしても、たいへ―― 「大変だったね~♪ あんな恐い人もいるんだね。うんうん」  右隣から声、そうそう同感です。 「そうですよね。どうしよう、他の人達もあんな感じだったら」 「大丈夫大丈夫♪ 恐い人もいれば、きっといい人もいるよん」 「ですよね」 「そうそう。前向きが1番だよ、ひかるっち♪」  「あははは♪」  「あははは……」  って――誰?!  ガバっと右へと振り向く。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加