月の子守歌

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「ありがとうございます、マスター」 脳にプログラムされたデータのまま話せば、瑛徒は眉をしかめた。 「僕の名前は瑛徒だよ。マスターなんかじゃない」 「でも……」 「僕達は主従ではない。大切なパートナーだ」 パートナー。 私が、彼のパートナーだと思ったら、嬉しかった。 何故かは分からない。 従うのが当然だと信じて生まれたから、自分が認められた気がしたのかもしれない。 「改めて、よろしく。ララバイ」 「ララバイ?」 聞き返した私に、彼は優しく笑って、頷き答えてくれる。 「ルーナァ・ララバイ。君の名前だよ」 私は こうしてルーナァ・ララバイとして、生まれた。 月の子守歌 それが私の名前。 瑛徒がくれた、大切な名前。 何故この名前をつけたのか 以前瑛徒に尋ねたことがある。 「幼い頃に、両親を亡くしてね」 語ってくれた瑛徒の過去。 その頃の私には、データとしてしか理解出来なかったけれど。 どうしてだろう とても悲しかったのを、覚えている。
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