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「おや?黒弥じゃないか。なんでそんなとこで倒れてるんだい?早く中にお上がり」
「おい!婆ちゃん!なに軽くスルーしてんだ」
「わしゃ何も知らんね。避けなかったお前が悪い」
「んなむちゃくちゃな……」
俺は婆ちゃんの家に来る度に、婆ちゃんの行動に振り回され毎度、毎度疲れていた。
「そんなことよりも、早く線香でもあげてきなさい」
「ああ。そうするよ」
そう言って俺は家に入った。
そして、仏壇の前に行った。
『チーン』
俺は線香をあげている間に思ったことがある。
なんで爺ちゃんはあんな婆ちゃんと一緒になったんだ……って。
あれは、もう人の域を超えている。
ある意味、神……。
それも、悪魔神……。
「く~ろ~や~?今、何を考えていたのかな?」
婆ちゃんは包丁を手に持ちながら近付いてきた。
「いいえ、何も。何も、考えていませんよ。お婆さま……」
「本当に?」
「本当に!だから、その包丁をおろしてくんないかな?」
婆ちゃんはゆっくりと包丁をおろした。
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