Prologue

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「馬鹿が!看護師なんてやめろ!」 オペを終えた医師は声を荒げる。 外科医の中でも比較的若いこの医師に彼は苦手意識を抱いていた。 無愛想で口調も荒いし、何より手術中の緊張感が半端ない。 下手したら、メスが飛んできそうな雰囲気だった。 「ERもオペ室も人員不足だが、お前みたいな無能はいらん」 言い返せない。 なぜならこの外科医は病院から一目置かれた存在だった。皮膚移植の腕は他に類を見ないほどだった。 この医師の美しい手術痕は有名だ。 それに、芸術的と言っても過言ではない手術の手捌き。 「有能」な医師に罵られて反論できるほど、彼に自信がある訳でもない。
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