4人が本棚に入れています
本棚に追加
上司と一対一で向かい合って、自分の要求を通せるほど、わたしは強くないのです。
その三日後、チーフに呼び出されました。
その日は土曜日で、早番のわたしは18時上がりの予定でした。帰ろうとすると、チーフが「森さん、話があるから、残って。」近くのカフェで話すことになりました。
ああ、怒られる。
威圧感のあるチーフには、話し掛けられただけで、恐怖で縮み上がってしまうのです。
「森さん、私を通さずに直接、エリアマネージャーに辞めたいですって言ったんですって?」
「あ…あの…それは…」
「…ほんと、いい加減にしてよ。エリアマネージャーには、店の中のコミュニケーションがとれていないって思われるでしょう?だいたい何なの?言われたわよ、私。森さん、チーフが怖いから辞めたいですって言ってるって。森さん26?27?信じられない、こんな手のかかる部下は初めて」
そんなこと言ってませんと、なぜ言えなかったのか。
ただ「すみません。」と小さな声で頭を下げるだけの、デブでトロくてみんなの邪魔者のわたし。
あの時のことを思うと、頭を壁にどんどんぶつけてしまう。
果穂さんのブログには、細かい描写がないからわからないけど、果穂さんのお友達も、本当は言ってなかったとしたら…。
自分のせいで、果穂さんがあのお仕事を始めたとしたら…。
きっと、決して幸せな気持ちではないはず。
果穂さんが、深夜放送で活躍している様子や、有名なお笑いタレントさんが果穂さんのファンだと公言するのを見て、少しずつ、幸せになっていくんだろう。
本当に嘘の報告をして、果穂さんを陥れようとしたのなら、大人気の彼女を見て、悔しく思っていることでしょう。
果穂さんにはこれからも活躍して欲しいです。
最初のコメントを投稿しよう!