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ヘンな宇斗?
て、この弟はいつも変か。
と、かなりヒドイ事を考えながらあたしは武琉クンに顔を向けた。
「ごめんね、武琉くん。待たせたけど、あの……執務室?だっけ。そこ、案内してくれるかな?」
眉根を寄せ、ちょっと申し訳なさげな顔で武琉くんを見つめたら、ちょっとだけ目を大きくして驚いて……
そして、ナゼか顔を赤くしてさっと視線を反らした。
……つうかさ、さっきからアンタたち、何気に人の顔見てその態度、酷くない?
そりゃ~アンタたちに比べたら、あたしの顔は平凡普通のイケてない顔かもしれないよ?
でもさ、別にこの顔が迷惑かけてる訳じゃなんだから、そこは温かい目で見守ってくれてもいいんじゃない?
武琉クンは、コホンと一つ咳払いして、いつもの無表情に戻ってあたし達に顔を向けた。
「俺の後について来てくれ。相手が待っているようだから、急ぐぞ」
言い終わらないうちに彼は、クルリと向きを変えて、もと来た道をその長い足を使ってどんどん先を歩いて行ってしまう。
あたしは慌てて武琉クンの背中に着いて行きながら、
「ほら、宇斗も行くよ!」
と声をかけてその執務室へと向かった。
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