始まりの跡

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「雅や。お兄はんは?」 「俺は……っ」 突然彼は周囲に油断なく目を向ける。 一瞬でその場の空気が変わった気がした。 彼はいつのまに取り出したのか、右手にナイフを構えていた。 その気配が、怖い。 「おとなしくしてろよ、雅?」 軽く雅の頭を撫でて、彼が立ち上がる。 その動きを目で追った瞬間、彼に襲い掛かる仲間の姿を見つける。 雅の所に来た、という様子ではなかった。 彼は大した苦もなく仲間たちの刃を捌き、その全てをねじ伏せていく。 その動きの全てが美しかった。 血で汚れていても、その美しさだけはそこなわれていなかった。
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