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不意に止まった彼の視線の先に、仲間たちのリーダーを見つける。
ふわりと白い羽が落ちてくる。
見慣れたそれを雅が手に取ることはない。
「手荒い歓迎だな」
「一人で乗り込んでくるとは、いい度胸ですね」
「従う気は、なしか。あの子供は囮か?」
「役に立たない子供に、それ以上の価値などありますか?」
そうやって冷たい視線を向けられるのは雅。
あの目に見られると体が竦む。仲間の一人とは認めていないと言われているようで。
「最後に聞いておこう。従うか?死ぬか?」
「私たちは決してあなた方に頭を下げはしない」
「そうか。……残念だな」
彼がナイフをしまい、出したのは幅広の曲刀。
右手でしっかりと構え、襲い掛かる仲間たちを次々と斬っていく。
折れていく翼。投げ出される腕。
雅の視界は、次第に赤と白に染まっていく。
気が付けばそこには雅と彼しか残っていなかった。生きているものは。
散らされた白い羽に真っ赤な血が染み込んでいく。
「ゃ…いやや……みんなぁっ」
駆け寄ろうとすると、彼に押さえられ止められる。
手を伸ばしても届かない。
「嫌やぁ!離してぇ!!」
「来い」
無理矢理連れていかれそうになり、雅は必死で抵抗する。
しかし彼に引き寄せられ腹に鈍い痛みを感じた瞬間に、雅の意識は闇に落ちていた。
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