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不思議な感覚だった。
温かくて包まれているようで安心できる。
初めてなのに、どこか懐かしい。
目を開けると手が見えた。しかし、自分の手ではない。
背中に感じる温もりやその手が何かわからないまま、雅はゆっくりと起き上がる。
「起きたのか」
「っ!?」
そこにいたのはあの美しい少年、彼だ。
仲間を殺した……。
「ちょっと座ってろ」
軽く雅の頭を撫でて、彼はその辺の棚を漁る。
しばらくして取り出したのは、木の櫛。
それを持って戻ってくると、彼は雅の後ろに座り、長く伸びた赤髪を一房手に取る。
「少し傷んでるな」
そう言うと、優しい手つきで雅の髪を梳きはじめる。
たまに引っ掛かって痛かったが、そうするとすぐに丁寧に解いてくれる。
髪に触れる手が心地よい。
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