オーデュボンの祈り⑨

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「一人の人間が生きていくのに、いったい何匹の、何頭の動物が死ぬんだ」  桜の声は、答えを求めているようには聞こえなかった。 「考えたこともなかった」 「これからは考えろ」 と、命令するように彼は言った。 「動物を食って生きている。樹の皮を削って生きている。 何十、何百の犠牲の上に一人の人間が生きている。  それでだ、そうまでして生きる価値のある人間が何人いるか、わかるか」 僕は黙っている。
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