89人が本棚に入れています
本棚に追加
「一人の人間が生きていくのに、いったい何匹の、何頭の動物が死ぬんだ」
桜の声は、答えを求めているようには聞こえなかった。
「考えたこともなかった」
「これからは考えろ」
と、命令するように彼は言った。
「動物を食って生きている。樹の皮を削って生きている。 何十、何百の犠牲の上に一人の人間が生きている。
それでだ、そうまでして生きる価値のある人間が何人いるか、わかるか」
僕は黙っている。
最初のコメントを投稿しよう!