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ここラストガーデンには、見たことがないもので溢れていた。ぼくは辺りをちらちら見て、いろいろな発見をした。
到着した時に見かけた、孔雀のような鳥が飛んでいる姿は、こころ奪われた。ひかるは見逃したらしいが、あの鳥は珍しい鳥なのだとか。
空の色も違う。青空といえば、青空なのだが、深いエメラルドグリーンみたいな色だった。この空を見ると、何だか落ち着いた。
広場には、変わった服装をした人たちがバザーを開いていた。その中には、人型のロボットがパーツの一部を売っていた。人間とロボットが共存している世界、本当に「ドラえもん」みたいだった。
「あちこち見るのはいいけど、はぐれないでね。また探すのは大変だから」
ぼくはひかるから釘をさされ、背筋がヒヤッとした。ここではぐれたら、迷子になってしまう。来た道も帰り方もわからない。
「ところで、ぼくたちはどこに向かってるの?」
絶対にはぐれないように注意しながらひかるの隣を歩く。
「学校だよ。君のことを報告するから」
ぼくが行く学校は、遠い場所にあるのだろうか。まだ学校らしき建物は見えない。気付けば、辺りは林だった。
「よし、着いた」
まだ林の中だった。ぼくには建物は見えない。本当に何もなかった。
「何もないじゃん」
「まだ力が不安定だから、見えないのかも」
ひかるがパチンと指を鳴らした途端、景色が一気に変わった。ぼくたちは噴水のある中庭に立っていた。
「ようこそ、デジションキャンパスへ」
噴水側から二人の女の子の声がした。ぼくとひかるは、ふっと振り返った。そこにいたのは、触角みたいな髪型をした人、小綺麗で澄ました顔をした人だった。
「愛流ちゃん! 玲菜ちゃん!」
ひかるの瞳が輝いた。ぼくはどうしていいのかわからず、二人に向かってお辞儀をした。
「あたしと玲菜ちゃんも君をサポートするんだ!」
愛流と思われる人物がにこにこしながら言った。そして、ぼくを物珍しそうに見ていた。
「よろしく…お願いします…」
助けてくれる人が増えることは頼もしいが、少し不安を感じた。ひかる、愛流、玲菜の三人を改めて見ると、凸凹な三人に見えた。
やっと、ぼくの魔法使いへの道が始まるみたいだ。実感がわかず、夢を見ている気がしていた。試しに頬をつねったら、やけに痛かった。
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