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「修司、どうしましたの急に立ち止まって」
俺は壁に飾ってある一枚の絵を見上げた。その絵は青空が広がり草木が漲る絵だ。優しさや暖かみが伝わる絵だ。だか、題名も無ければ作者の名も無い。だけど、その絵は誰が描いたのか一目で分かる。
「この絵は修司のお父様の絵ですわね」
亜綺は俺の右側でその絵を見上げていた。
「あぁ、父さんがどこかの場所で描いた絵だけど、結局どこで描いたのか分からないだけどね」
俺はこの絵がどこで描いたのかずっと気になっていた。
いつか俺もこんな絵を描いてみたいと思っている。
「修司が描く絵だって上手いわよ。優しさや暖かみ伝わるだから」
亜綺と同じく俺の左側でおとなしく見ていた紗嬉がいった。
「俺が描く絵は単なる趣味だよ。父さんのは仕事で描いた絵だ。それが俺と父さんの違いだよ」
俺はいつか父さんみたいな画家に成りたいと心のどこかで思っていた。
「そんな事ないよシュウちゃん。紗嬉姉さんの言うように少なくとも優しさや暖かみは私たちにはちゃんと伝わるだから」
摩姫が背中から言ってきた。
「そうですわ修司」
「ありがとう3人とも」
俺達は暫くその絵を見ていた。
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