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「結局不純同性交遊か?」
その程度で美しい世界なんておかしなもんだ。
「ざぁんねん」
笑いながら小春がコンドームの封を切り掌に開けた。
「粉?」
「ん,ヤッバァいお薬」
隠微な輝きで餓えた目が輝いていた。
いい加減にして欲しい。
「酒と煙草と薬は興味ないんだ」
「そ,」
フローリングにその薬を落し,小春は白い髪をくりくりと弄った。
まるで女みたいだ。
「奇遇だね。ぼくも酒と薬は嫌いだな」
「じゃあ,」
「スーパーファンキー」
「何?」
耳慣れない単語に,疑問を返す。
「最近出回ってるこいつの名前。」
その言葉が何を意味しているのか判らず,僕は息を飲む。
「こいつを掻っ攫って金にしようと思ってるんだ」
実に子供らしい笑顔で笑う。
そのくせ眸は餓えたままで,ぞくりと背中がおぞ毛だつのを感じた。
危険だ。
理屈ではない防衛本能が激しく警鐘をならす。
この男に惹かれてはならない。
判っていて右手が,彼を支え起こそうとしていた。
駄目だ。
思ってもその腕は引き込められない。
女よりも細く華奢な癖に大きな手が,僕の手を掴んだ。
「当然,報酬は山分け」
頭の中の電卓を叩くように小春が視線を上方にさ迷わせた。
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