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「…どーしたんでさァそのブス面」
いつもの裏庭。
座り込むコイツのいつものお気に入りの場所。
いつもと違うのは、じんわりと浮かぶ涙。
こういう時、コイツは涙を無理矢理拭い、笑う。
冗談のように
笑い話のように。
「うっさいわねこのドS。…彼氏に、振られたのよ」
「…そいつァ」
僅かに咎める声が刺さる。
『だからうっさいって』
「彼氏さんは良かったですねィ。こんなアバズレの正体がようやく分かって」
目をぱちくりとさせては、しかめっ面。
「…そっちか、そっちに走るか沖田君」
騙された!と嘆いているコイツにはお決まりの言葉。
「俺ァ生憎ドSなもんで」
「…はー……殺意湧くわ」
「アンタにゃ無理ですぜ」
「わーってるわよ、アンタ殺す前にあたしが殺されるわ」
違う。
そういう意味じゃなくて。
「違ェや、馬鹿」
「馬鹿?アンタには言われたくな…い……」
無意識に、目の前で強がる馬鹿を抱き締めていた
「俺以外と付き合うなんざ、アンタにゃやっぱ無理だ。幸せそーだったから手ェ出さねーようにしてきたけど、もーいいや」
「…おき、た?」
「好きだ」
その泣き面よりも、さっきの貼りつけた笑顔が疎ましい
その彼氏さんとやらが作った表情が心底憎らしい
んな泣き面よりも
いつもの俺に向けたアンタの笑顔の方が、何百倍も綺麗だろィ。
…なんて
「絶対言ってやんねーけどな」
「は?何言ってんのアンタは。…ちょ、苦しいからとりあえず離せ。殺す気か」
…鈍いアンタも疎ましいよ、俺ァ
ちょい片想い沖田が書きたかっただけ。
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