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『女中さん!』
『あら、どうしました?』
『あたしが今日夕飯の買い物行ってきてもいいですか?』
『え…ええ。でもなんでまた』
『えへへ、だってー…』
*
「…なんで」
問うと、土方は首を振った。
「それは俺らにも分からねェ」
曰く、いつもは女中が行く夕飯の買い物を今日はアイツが行って、攘夷浪士に襲われたときに頭を強く打ったらしい。
…明日に何か特別なことがあるからと言って出掛けたばかりに。
苦い顔をした近藤さんが、俺に向かい優しく笑んだ。
「…総悟、今日は此処に泊まるんだろ?」
「…………」
「明日はちゃんと帰って来いよ」
どうせお前は帰れと言っても帰らない奴だからな、と言い残して近藤さん達は屯所に戻った。
俺はやるせない気持ちになり、彼女をまた怯えさせたくなかったから病室へは行かず、なんとなく誰もいない屋上へ登っていた。
「……………あ」
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