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「最近、何かあったか?」
雅樹さんが突然、尋ねてきた。その言葉に俺はドキッとした。もしかして顔に出ていたのだろうか。
「何もないよ。ちょっと疲れてるだけだから……」
雅樹さんはそれで納得してくれたらしい。俺は何時ものように雅樹さんを送り出して、俺はため息をつく。今日が雨宮さんと約束していた日だ。前もって書かれていた住所をパソコンで調べるとそこは刑務所だった。
そんな所に知り合いがいるのだろうか、と俺は不安を抱いた。
「そろそろ行くか……。」
俺は稼いでおらず、あまりお金は持っていないという事情を雨宮に話すと雨宮は迎えにいくと言ってきた。それはかなり有り難い事だった。
窓の外を見ると白い外車が一台止まっている。おそらく、あれなのだろう。
「今日はよろしくお願いします、雨宮さん。」
車にはやはり、雨宮さんが乗っていた。
「では行きましょう。」
俺が助手席に座ると雨宮さんは車を出発させた。
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