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前川が去ってからほどなく、薄暗くなった部室に灯りが点いた。
氷見子が点けたのだ。
「たけちゃん、もう帰らんか?」
武ノ内は、羽田や前川の鑑定結果を反芻していた。
あれで良かったのか
あの言い方で伝わったのか
未来を正確にトレース出来たのか
「ああ、そうだね… そろそろ帰るか」
思考している武ノ内の横顔は、三割増しのカッコ良さになると、氷見子は思っている。
言ったところで真剣にとりあってはもらえないから、本人には伝えていないが。
「氷見子様、帰りに恭平のバイト先寄っていい?」
横顔を氷見子に見せたまま、武ノ内が聞いた。
「構わんよ」
蓮の花のような笑顔を、氷見子は浮かべた。
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