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初夏の夜明けは早い。
ベッドから身を起こした恭平は、携帯を開く。
いつもの起床時間より、一時間ほど前。
エアコンをつけたままの部屋はひんやりしているが、恭平の背と脇は、汗が浮かんでいた。
喉が乾いている。
恭平は枕元に置いてある、ミネラルウォーターを口にした。
生ぬるい水だった。
夢をはっきり覚えているのは珍しいことだ。
美しい景色と
あやうい色彩
どんな意味が
あるのだろう…
階下の鍵の開閉音が聞こえた。
あいつはいつも、こんなに早く出勤しているのか。
ふん、と鼻を鳴らし、恭平はまた体を横たえた。
何やら軽い動悸がする。もう一寝入りは無理そうだ。
今日学校に行ったら、久々に彼に会うか。
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