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松末高校は首都圏に建つ。とはいえ、高校の周囲にあるのは住宅街と、所々に畑や草地。勉強するには良い環境である。
男女あわせて八百名ほど。校則はあまり厳しくはない。
羽田恭平は松高の二年生である。
現在は帰宅部のため、放課後はほぼ毎日バイト。勿論今日もその予定である。
ただ…
行く前に立ち寄る場所があった。
会いたくなった奴がいた。
「あれ? 恭平!? 珍しいな」
奴がニカッと笑う。
この笑顔に、いつも恭平は救われる。
些末な悩みなど、馬鹿らしいと思えるからだ。
「ちょっと、武ノ内に聞きたいことがあってさ」
「より一層珍しいな、ま、座れよ」
奴、の名は武ノ内修生。占い研の会長である。
同好会でありながら、生徒会室の隣に、一室を持つ占い研。
武ノ内の占いは、当たると評判である。
「まさか恭平、占い希望?」
武ノ内は笑顔のまま、紙コップに健康茶を注ぐ。
「あー、その、なんというか、夢の解釈を知りたいと思って」
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