一章

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「夢? どんな?」 武ノ内に促され、恭平は明け方見た夢の内容を語った。 「へぇー」 武ノ内の眼が、更に細くなる。仏像の半眼、といった風情か。 「そりゃあ、恋の夢だよ」  恭平の胸がコトリと鳴った。 「その表情だと、思い当たるトコあるみたいだな」 悪戯する前のガキの様な、武ノ内の視線をかわし、恭平は紙コップに口をつけた。 恋、なのか… 「まあ、今後どう進展するかは未知数みたいだな。霧が出てきたのは、そういう意味さ」 なるほど 小さく安堵の息を吐き、恭平はコップを机に置いた。 「武ノ内、サンキュ。 すっきりしたわ」 「どういたしまして。 何かあったらまた来いよ」 恭平はそのまま占い研を去った。 恭平の後ろ姿を見送った武ノ内の表情は、些か夕闇の色をしていた。
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