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「夢? どんな?」
武ノ内に促され、恭平は明け方見た夢の内容を語った。
「へぇー」
武ノ内の眼が、更に細くなる。仏像の半眼、といった風情か。
「そりゃあ、恋の夢だよ」
恭平の胸がコトリと鳴った。
「その表情だと、思い当たるトコあるみたいだな」
悪戯する前のガキの様な、武ノ内の視線をかわし、恭平は紙コップに口をつけた。
恋、なのか…
「まあ、今後どう進展するかは未知数みたいだな。霧が出てきたのは、そういう意味さ」
なるほど
小さく安堵の息を吐き、恭平はコップを机に置いた。
「武ノ内、サンキュ。 すっきりしたわ」
「どういたしまして。 何かあったらまた来いよ」
恭平はそのまま占い研を去った。
恭平の後ろ姿を見送った武ノ内の表情は、些か夕闇の色をしていた。
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