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前川玲那は、武ノ内や羽田恭平よりイッコ上の三年生。恭平が一年の時に所属していたサッカー部のマネージャーである。
「ずっと…好きだったの」入部してきた恭平を一目で好きになったと前川は語った。
「羽田が部活やめちゃって、あんまし会えなくなって淋しかったけど、春の体育祭の打ち上げで合流して、…それから付き合うようになって」
武ノ内はカードを取出し、シャッフルした。
数多の種類があるように見える占いだが、実際は三種類しかない。
それが
命
卜
相
である。
命とは生年月日から読み取れる一生の運勢。
卜とは、その時々のイエスノーをはっきりさせるもの。
相とは形。手相や人相でその個性を解析する。
前川の鑑定依頼は「やり直したい」という内容。武ノ内は卜の方法を選んだ。
机上に並んだタロットカード。
過去を示すカードは悪魔。
「お酒の勢いで、寝てしまったかな。所詮一夜限りの関係だったみたいだね」
前川はまた涙を溢す。
現在のカードは世界の逆位置。
「今愛されてる実感は、ないんでしょ?」
前川は無言で頷いた。
未来のカードは月の逆位置。
「結論を言うと、復活は無理みたいだ。…残念だけど」
前川はわっと机に突っ伏した。
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