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「しかしそうだな…。君もとっとと人間に戻りたければ私に協力した方が賢明だそ?」
アリアの笑みがどんどん邪悪なそれに変貌する。完全に脅迫だ。
どうこうするつもりはないんじゃないのか。
(…あれ…)
ここでふと気付いた。アリアの言うエンペラーヴォイスの効力はいかほどなのだろう。
俺の自由を縛る枷だということは解る。だが、それは同時に俺の命までも握っていることになるのか?
「アリア、聞きたいことがある」
「む、いきなり名指しか…。何だ?」
「エンペラーヴォイスってのは、生死までも左右出来るのか?」
一瞬の静寂の後、ぽかんとしていたアリアの口元が不気味に歪んだ。
あ…、ヤバい。これは地雷踏んだかも…。
「では、試してみるか? …アリア・ルナルーチェが命じる。影山夜風、今ここで死──」
「待て待て待て待てふざけんな! 興味本意で聞いてみたせいで殺されるなんて真っ平御免だぞ!」
「はっはっは、嘘だ。エンペラーヴォイスじゃ生き死には操れない。世の理を崩してしまうからな」
俺の肩から力が抜ける。
がくりとその場に崩れ落ちると、アリアはにやついたまま口を開いた。
「ま、そんなものだ。哀れな従僕よ」
もし死んだら真っ先にコイツを呪い殺す。
そう俺は心の中で固く誓った。
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