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「奴は今もこの町にいるだろう。奴ほどの手練れになると“感じ”で解るらしいからな」
かかか、と笑ったアリアの言葉を脳内で一巡させ、もう一度よく考えてから、俺は驚愕した。
「ちょっと待て…。そりゃ、次の獲物は俺ってことになるんじゃないか!?」
なんたって今の俺はもどきとは言え吸血鬼の身だ。
例の吸血鬼ハンターだかに狙われる可能性も無くは無い。
むしろ狙われても可笑しくないぞ!?
「あー…確かに」
「なんでそんな冷静なんだよ! 他人事なのはわかるけどよ、いくらなんでも冗談じゃないぞ!」
「まぁまぁ、落ち着け」
この状況で落ち着いてられるか! と喚きたてる俺をなだめつつ、アリアは顎に手を当て数秒考えると、
「奴とて話が通じないわけではない。自分が巻き込まれたことを話せば、退いてくれるだろうよ。多分」
怖い! その最後の『多分』が怖い!
確証ねぇのになだめようとすんなや! 逆に不安になるわ!
「というかそろそろ喚くのもやめにしたらどうかな? いつまで経っても話が進まないぞ」
「む、そうか…」
なんだか言いくるめられた感が否めないが、とりあえずここは矛を収めることにする。
さて、次はお前がなんで月宮と体を共有することになったのか、だな。
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