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「む。あー…う、む…」
突然言葉を濁すアリア。
頬をかいたり、目を反らしたりと実にらしくない言動だ。
なんだ、随分もったいぶるじゃないか。
「もったいぶってる訳ではない。はぁ…、仕方ないな」
何か諦めたように嘆息する。
なんでそんなに嫌々なのか、何が仕方ないのか俺には全くわからん。もちろんアリアが顔を真っ赤にしてる理由もだ。
「実は…私はあの時、己の生命力が尽きかけているのが解らなかった…んだ」
「…生命力? なんだそりゃ」
それにしてもお前は何故もじもじしてるんだ。
らしくないぞ気持ち悪い。
「あ、そうか、君はなりたてだったな。はぁ~、よかった」
「………」
話が見えない。
とりあえず俺にわかるよう説明してくれないか。まず生命力とやらから。
「生命力というのは文字通り生きる力だ。私達吸血鬼は人の血からこれを摂取し、糧にする。不老不死や治癒能力、吸血鬼の様々な能力は生命力を媒体に働いているんだ。つまり──」
「──つまり生命力がなくなると吸血鬼は不老不死じゃなくなって、死ぬ…。そういうことか?」
「まぁ、そう…だ」
…ははぁ、わかったぞ。さっきアリアが恥ずかしそうにしてたのはこれが原因か。
俺が言いたいのは、あー…、まぁアリアは自分の力量も把握せずに身代わりになるなんて無謀なことをやっちまった。
んでそれを恥じている、と。そんな感じ。
いや、確信があるわけじゃないんだがね。勘だよ、勘。
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