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しっかし生命力…ねぇ。そんなもんが血中に含まれてたなんて思いもしなかった。
ま、生命力なんて非科学的なもん、普通認知されてないはずだし、仕方がないことなのかもな。
…ところで、その生命力とやらを俺はいかほど持ち合わせてるのだろう。
何度も言うようだがこれでも吸血鬼の身だ。しかもなりたて。吸血なんて一度もしたことがない。
じゃあ俺はどうやって今生きてるんだ? アリアの話じゃ生命力がなければ吸血鬼は生きてられないみたいだし、どうにも腑に落ちない。
「ああ、君の生命力は大丈夫だ」
まるで心を見透かしたように抜群のタイミングで口火を切るアリア。
…大丈夫ってどういう意味で?
「君が人間だった頃の血が、丸々生命力として消費されたんだ。つまり、今の君は生命力で満たされておる。だから死なない。大丈夫だ」
「へぇ。HPが満タン状態ってことか」
「なんだ、えいちぴーとは」
「失言だ。気にすんな」
人間だった…ね。
事実なんだろうけど、やっぱり傷つくなぁ。お前はもう人間じゃないんだって言われてるみたいで。
──うん。俺は人間に戻りたい。アリアもそうしてくれるって言ってるんだ。少しは協力してやろうかな。
そういや、アリアは何故俺たちを戻してくれるなんて言ったんだろう。
新しい体に手下まで得られたって言うのに、それをどちらとも手放すなんていくらなんでも虫が良すぎやしないか。
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