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時は数時間前まで遡ることになる。
今更何をとも思うが、あれが分岐点だったのかもしれない。
とりあえず、順に追っていくことにしよう。
「夜風、君最近月宮と仲いいよね。何かあった?」
アリアの過去を聞いてから数日が経った頃である。昼休み中、がやがやと騒がしい教室で柊がそんなことを言ってきた。
俺は口に放り込もうとした卵焼きの手を止め、代わりに口をへの字にして答える。
「お前は相変わらず何を言い出すんだよ」
「いやだってさぁ、毎日遅刻寸前だった夜風が最近は早く来るようになったじゃん。月宮とさ。放課後もなんか一緒っぽいし…」
あー…それか。
それには理由がある。
朝月宮と登校するようになったのは、毎朝あいつが俺を叩き起こしに来るからである。
吸血鬼になって夜型になっちまった生活をとっとと普通に戻す為だとかぬかしやがった。
お陰で鈴からは彼女疑惑をかけられ、それを解くのに苦労したものだ。
放課後は放課後で吸血相手の品定め。
アリア曰く、血の気が多い奴の方が生命力をより摂取出来るんだとか。
標的になった奴がどんな目にあってるかは、考えたくもないね。
…と、まぁそんな感じなんだけど、そうか柊にはそう映ってたのか。
んなつもりさらさらねーんだけどなぁ…。
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