狩る者、狩られる者 -Hunter-

4/20
900人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
 そんな訳で、放課後。  ホームルームが終わり、何も入ってない薄っぺらなカバンを手にした俺は、柊たちと一緒になる前に昇降口へ向かった。  そこで、あいつが来るのを待つ。 「早いのね、影山君」  早速登場。もちろん月宮だ。 「じゃ、行きましょ」 「あー、それなんだがな……」 「?」 「悪い、俺今日パスだ」  少しの沈黙。怪訝な表情を作り、月宮は訊いた。 「なんで?」 「いや、友達にゲーセン誘われてさ。最近ゴタゴタしてたし、たまには息抜きも必要かな~なんて……さ」 「………」  うわぁ~! 怖ぇ!! この無言が月宮の怒りを表してるみたいだ。  眼鏡越しの瞳が『そんな暇あると思ってんのか』と語ってるよ~。多分ダメだって言われんだろうなぁ…。  だが── 「判ったわ。今日はお休みにしましょう」  意外にも、すんなり許可は下りた。  月宮はそのまま下駄箱から靴を取り出し、スタスタと先に行ってしまう。  別れ際、彼女は振り返らずに言った。 「でもあまり遅くならない方が身のためよ」  その言葉は、何か予言めいたものを感じさせた。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!