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そんな訳で、放課後。
ホームルームが終わり、何も入ってない薄っぺらなカバンを手にした俺は、柊たちと一緒になる前に昇降口へ向かった。
そこで、あいつが来るのを待つ。
「早いのね、影山君」
早速登場。もちろん月宮だ。
「じゃ、行きましょ」
「あー、それなんだがな……」
「?」
「悪い、俺今日パスだ」
少しの沈黙。怪訝な表情を作り、月宮は訊いた。
「なんで?」
「いや、友達にゲーセン誘われてさ。最近ゴタゴタしてたし、たまには息抜きも必要かな~なんて……さ」
「………」
うわぁ~! 怖ぇ!! この無言が月宮の怒りを表してるみたいだ。
眼鏡越しの瞳が『そんな暇あると思ってんのか』と語ってるよ~。多分ダメだって言われんだろうなぁ…。
だが──
「判ったわ。今日はお休みにしましょう」
意外にも、すんなり許可は下りた。
月宮はそのまま下駄箱から靴を取り出し、スタスタと先に行ってしまう。
別れ際、彼女は振り返らずに言った。
「でもあまり遅くならない方が身のためよ」
その言葉は、何か予言めいたものを感じさせた。
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